プノンペンにあるトゥール・スレン虐殺博物館に行ってきました。
僕がこれまで生きてきた中で最もショッキングな体験でした。正直、観光スポットのひとつとして軽い気持ちで行くことはおすすめしません。
けれど、プノンペンを訪れたら必ず行ってほしい場所でもあります。
トゥール・スレン虐殺博物館とは
カンボジアの暗い歴史を記録し、クメール・ルージュ政権下で行われた恐怖の出来事を伝える重要な施設です。
元は高校でしたが、1975年から1979年のクメール・ルージュ政権下において、S-21というセキュリティ刑務所として使用されました。
S-21は、政権に反対する疑いのある人々を収容し、尋問し、拷問を行う施設でした。約17,000人がここで命を落としました。
迫りくる生々しさ
この施設は収容所をそのまま博物館にしています。そのため、とてつもないリアリティと生々しさがあります。
プノンペンは活気に溢れ、とても明るい街ですが、ここだけは違います。誰1人笑っている人はいないし、大きな声で話す人もいない、足取りも重い。
収容所内には、虐殺された人々の顔写真やどんな拷問を受けたかの説明が書かれています。小さな子どもから老人まで、とてつもない数の人々がこの小さな元高校に収容され、虐殺されていったことが分かります。
たくさんの頭蓋骨も展示されています。
レンガや石で区切られた居房がそのまま残っていて、実際に入ることもできます。たった50年ほど前、この部屋でもがき苦しんで亡くなった人たちの無念が迫ってくるようで、少し歩くだけでもしんどかったです。
悲劇をくり返さないために
ここを訪れた感想をどう伝えればいいのか、正直言葉が見つかりません。
例えば、「日本という平和な国に生まれてよかった」と自身の幸せを再認識することももちろんすばらしいことだと思います。
ただそれって何か他人事な気がするし、少し違うんじゃないかと思うんです。
この虐殺が起きたのはたった50年前。そんな短期間で人間の本質は変化していないはず。つまり、僕ら一人一人にこうした残虐性が潜んでいるということです。他人事ではないんです。
だからこそ、まずは自分自身にも残虐性があることを認め、一人一人が自分ごととして考え、こうした悲劇を2度と繰り返さないよう強く心に決め生きていくことが大切なのではないかと思いました。
最後に
トゥール・スレン虐殺博物館を訪れたことは貴重な経験となったとともに、あの場所にもう一度足を踏み入れる勇気は今の僕にはありません。
しかし、プノンペンを来た際は1度はここを訪れ、過去の悲劇に目を背けず、自分なりに受け止めてみてほしいと思っています。
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